
離婚前に家の名義と住宅ローンの状況を確認する
離婚をきっかけに家を売る場合、最初に確認したいのが不動産の名義と住宅ローンの契約内容です。登記事項証明書を取得し、土地と建物の所有者、共有持分、抵当権の内容を確認しましょう。家の名義が夫婦共有になっているときは、原則として名義人全員の意思をそろえて売却手続きを進める必要があります。どちらか一方の名義でも、婚姻中に夫婦で築いた財産に当たる可能性があるため、名義だけを見て売却代金の分け方を決めるのは避けましょう。
住宅ローンが残っている場合は、金融機関から残高証明書や返済予定表を取り寄せ、現在の残債を把握します。そのうえで、不動産会社に査定を依頼し、売却価格からローンを完済できる見込みがあるか確認することが大切です。売却価格より残債が多い状態では、不足分を自己資金で補うか、金融機関と相談して任意売却などを検討する必要があります。
また、離婚して家を出たからといって、住宅ローンの返済義務が自動的になくなるわけではありません。債務者や連帯保証人の変更には金融機関の審査や同意が必要です。名義、債務者、連帯保証人、残債、査定額を一覧にし、売却可能な状態かを先に整理すると、その後の話し合いを進めやすくなります。
売却時期と進め方を夫婦で具体的に決める
離婚前に売るか、離婚後に売るかも重要な注意点です。離婚前であれば、連絡を取りやすく、内覧対応や価格交渉、必要書類の準備を協力して進めやすいという利点があります。一方で、離婚条件の話し合いと不動産売却を同時に行うため、精神的な負担が大きくなりやすい点には注意が必要です。
離婚後に売る場合は、生活を落ち着かせてから手続きを進められますが、住所や氏名の変更、書類の受け渡し、売却価格の合意などに時間がかかることがあります。連絡が取りにくくなる可能性もあるため、誰が不動産会社との窓口になるのか、いつまでに売却するのかを離婚前に決めておくと安心です。
話し合う内容は、売出価格、値下げを認める範囲、内覧への対応、住宅ローンや固定資産税などの負担、売れるまで誰が住むか、引っ越し時期などです。不動産会社を選ぶ基準や媒介契約の種類、査定額と実際の売出価格が異なる場合の判断方法も共有しておきましょう。口頭だけで決めると認識の違いが生まれやすいため、離婚協議書や合意書など、後から確認できる形に残すことが大切です。早く整理したいという気持ちだけで安く売るのではなく、複数社の査定を比べ、売却に必要な期間も考えながら進めましょう。
売却代金の分け方と税金まで確認しておく
家が売れた後に分けられるのは、売却価格の全額ではありません。実際には、住宅ローンの完済額、不動産会社への仲介手数料、抵当権抹消などの手続費用、引っ越し費用などを差し引いた手取り額を確認する必要があります。売却前の段階で概算表を作り、どの費用を誰が負担し、残った金額をどのように分けるのかを明確にしましょう。
売却代金の分配割合は、名義の持分だけで機械的に決まるとは限りません。購入時の負担、住宅ローンの返済状況、ほかの財産や離婚条件なども関係するため、夫婦の合意内容を書面に残すことが重要です。入金先も一方の個人口座だけにせず、入出金の記録を確認できる方法を選ぶと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
税金にも注意が必要です。不動産を売って利益が出た場合は、譲渡所得として課税される可能性があります。また、家そのものを財産分与として相手に渡す場合、渡した側に時価を基準とした譲渡所得課税が生じることがあります。財産分与を受けた側には通常贈与税はかかりませんが、分与額が事情に照らして多過ぎる場合などは課税対象となる可能性があります。判断が難しい場合は、不動産会社だけでなく、弁護士、司法書士、税理士にも早めに相談し、売却、離婚、税務の手続きをまとめて確認しましょう。
