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ー不動産売却の相場を自分でしっかり調べる方法|初心者向けガイドー

不動産売却の相場を調べる前に知っておきたい基本

不動産を売るとき、「この価格で本当に妥当なのか?」という不安は多くの方が感じるところです。その不安を減らすための鍵が「相場を自分で把握しておくこと」です。まずは、相場を調べるときに知っておきたい基本的な考え方を押さえておきましょう。

不動産の価格は、ひとことで「相場」といってもいくつかの見方があります。代表的なのは次のようなものです。
・売り出し価格:ポータルサイトなどに掲載されている「希望価格」
・成約価格:実際に売買契約が成立したときの「本当に売れた価格」
・査定価格:不動産会社が「これくらいで売れそう」と判断した目安の金額

本来の「相場」に近いのは成約価格ですが、リアルタイムに一覧で見られるのは売り出し価格であることが多いです。そのため、いくつかの情報を組み合わせながら「このエリア、この広さ、この築年数ならだいたいこれくらい」という感覚をつかんでいくイメージを持っておくとよいでしょう。

また、相場はエリアや物件の条件によって大きく変わります。駅からの距離、土地の形や方角、マンションなら階数や眺望など、少しの違いで価格が変わることも珍しくありません。「同じ市内だから同じくらい」とは限らない点も、最初に理解しておきたいポイントです。

自分でできる不動産売却相場の調べ方

ここからは、専門的な知識がない方でも実践しやすい相場の調べ方を紹介します。インターネットや公的な情報を使えば、自宅にいながらでも大まかな価格帯をつかむことができます。複数の方法を組み合わせて見ることで、より精度の高い相場観が身についてきます。

ポータルサイトで類似物件の価格帯を確認する

最も手軽なのが、不動産ポータルサイトで似た条件の物件を検索してみる方法です。売り出し価格ではありますが、売主や不動産会社が「このあたりの値段なら売れるだろう」と考えて付けている金額なので、相場のたたき台としては十分役に立ちます。

チェックするときのポイントは次の通りです。
・同じ市区町村、できれば同じ駅・学区で検索する
・マンションなら「築年数」「専有面積」「階数」「間取り」を自分の物件に近づける
・戸建てなら「土地面積」「建物面積」「築年数」「最寄り駅までの距離」をそろえる
・極端に安い・高い物件は「特殊な事情」がある可能性があるので平均から外して考える

10件前後の類似物件の価格を見て、ざっくりした中央値や多い価格帯をつかむと、「自分の家なら○○万円〜○○万円くらいかな」という感覚が見えてきます。

国土交通省の「土地総合情報システム」を使う

次に、公的な情報として便利なのが、国土交通省が公開している「土地総合情報システム」です。ここでは、実際に売買された不動産の成約価格がデータとして掲載されています。

このサイトでは、
・住所や駅名でエリアを指定
・土地、戸建て、マンションなどの種別を選択
・取引時期や面積などの条件を指定
といった絞り込みが可能で、実際にいくらで取引されたのかを確認できます。

ポータルサイトの売り出し価格と違い、「成約価格」に近い情報なので、よりリアルな相場の参考になります。ただし、データが数か月〜1年ほど前の取引であることも多いので、最近の市況の変化もあわせて考えることが大切です。

路線価や公示地価で土地の目安をつかむ

土地の価格を知りたい場合は、「路線価」や「公示地価」といった公的な指標を確認する方法もあります。路線価は主に相続税評価などに使われる指標、公示地価は国が公表する標準的な土地の価格です。

一般的には、
・路線価 → 実勢価格(市場価格)の約80%前後
・固定資産税評価額 → 実勢価格の70%前後
といわれることが多く、これらの数字から逆算して大まかな価格をイメージすることも可能です。

もちろん、実際の売却価格は、周辺環境や建物の状態、需要の強さによって変わりますが、公的な価格指標を知っておくと、「あまりにも相場から離れた価格になっていないか」をチェックする物差しになります。

不動産会社を活用した相場の確認方法

自分である程度相場を調べたら、不動産会社の意見も組み合わせると、より現実的な売却価格に近づいていきます。同じ物件でも会社によって査定額が違うことはよくあるため、複数の不動産会社から話を聞くことが大切です。

一括査定サイトで複数社の見積もりを比較

インターネット上の一括査定サイトを使うと、一度の入力で複数の不動産会社から査定額の提示を受けることができます。短時間で複数社の意見を集められるので、「だいたいどのくらいの価格帯で見ているのか」を知るには便利な方法です。

一括査定を利用するときは、次の点を意識してみてください。
・査定額が極端に高い会社は「媒介契約を取りたいだけ」の可能性もある
・査定額の理由説明が丁寧かどうかをチェックする
・過去の成約事例や販売戦略についても質問してみる

金額だけでなく、「なぜその価格になるのか」をきちんと説明してくれる会社のほうが、信頼できるパートナーになりやすいです。

地元の不動産会社に直接相談する

一括査定だけでなく、地元密着型の不動産会社に直接相談してみるのもおすすめです。実際にそのエリアでどのくらいの期間で売れているのか、どんな買主層が多いのかなど、ネットではわからない生の情報を教えてもらえることがあります。

具体的には、
・最近の成約事例(価格・期間・物件の条件)
・今の市況感(売り手市場か、買い手市場か)
・売り出し価格と成約価格の差がどれくらいか
といった点を質問してみると、その地域特有の「肌感覚の相場」が見えやすくなります。不動産はエリア性が非常に強い商品なので、地元の情報に強い会社の意見は相場の確認にとても役立ちます。

相場と査定額が違うときの考え方

自分で調べた相場感と、不動産会社の査定額が少し違うことはよくあります。このときに「どちらか一方が正しい」と考えるのではなく、「なぜ差が出ているのか」を冷静に確認することが大切です。

たとえば、
・物件の傷み具合やリフォーム歴をどう評価しているか
・眺望や日当たり、騒音などの環境面をどこまで織り込んでいるか
・今後の市況見通し(価格が上がりそうか、下がりそうか)をどう見ているか
といった要素の評価の仕方で、査定額は変わってきます。

また、不動産会社によっては「まずは高めに出して、反応を見ながら調整しましょう」という方針のところもあれば、「最初から現実的な価格で出して、短期で売り切りましょう」という会社もあります。どのスタンスが自分の希望に合っているかも含めて、価格の違いを判断材料にしていくとよいでしょう。

もし、自分の感覚から見て明らかに低いと感じる査定額であれば、その理由を具体的に確認したうえで、別の会社の意見も聞いてみると安心です。逆に、相場より極端に高そうな査定額の場合は、「本当にその価格で売れる見込みがあるのか」「販売戦略はどうするのか」を丁寧にチェックすることをおすすめします。

相場を踏まえて、少しでも良い条件で売るための工夫

相場を知ることの目的は、「安売りを防ぐ」だけではありません。「相場を踏まえたうえで、どこまでなら強気にチャレンジできるか」を考える材料にすることも、とても大切なポイントです。ここでは、相場を活かして少しでも良い条件で売却するための工夫を紹介します。

まず意識したいのは、「相場+物件の魅力」で価格を決めるという考え方です。相場はあくまでスタートラインであり、そこから
・リフォーム済みで内装がきれい
・設備が新しくランニングコストが抑えられる
・人気の学区や商業施設が近い
といったプラス要素があれば、相場よりやや高めに設定する余地もあります。

一方で、
・築年数がかなり古い
・駅から遠く、バス便がメイン
・近隣に新築物件が多く建っている
といったマイナス要素がある場合は、相場より少し抑えめにして「買い手にとってのお得感」を演出したほうが、結果的に早く、納得のいく条件で売れるケースも少なくありません。

買い手の目線に立って、次のような点も見直してみましょう。
・内覧時に第一印象を良くするための掃除や片付け
・ニオイ対策や照明の工夫で明るく見せる
・図面や写真で伝わりにくい「生活のしやすさ」を説明する

こうした小さな工夫は、価格そのものだけでなく「この家に住みたい」と感じてもらうための後押しになります。相場をしっかり押さえたうえで、物件の魅力をどう伝えていくかを意識することで、より良い条件での売却につながりやすくなります。

最後に、不動産売却は「相場を知る→戦略を決める→販売活動→条件交渉」という流れの中で進んでいきます。最初の一歩である「相場を自分で調べる」という作業を丁寧に行うことで、その後の判断がぶれにくくなり、不動産会社とのやり取りでも主体的に動けるようになります。少し手間はかかりますが、その分、納得度の高い売却につながる大切なステップだと考えて取り組んでみてください。

2025.11.14